ニキビ治療にあちこち走り回った経験があります。
私か初めて行った皮膚科の病院は、家から近くにある町医者で、そんなに大きくは無かったんですが、毎日、大人から子供までたくさんの患者さんが待合室に溢れていて、受付をしてから名前を呼ばれるまで、けっこう時間がかかるほど混んでいました。
長時間待たされて、やっと専門のお医者さんに会えて、自分のニキビがどんなに辛いのなのかを説明しようとするんですが、私の言葉をほとんど聞かずに、その先生は私のニキビだらけの顔を少し見して、すぐにカルテを書きはじめ、
「ああ、ニキビね。20歳過ぎればみんな治るから。抗生物質とローションを出しておきます。今日はビタミン注射でもしておこうか」
私の肌に触りもせず、調べもせず、話も聞かず、先生から言われたことに対して質問する間もなく、次の患者さんが呼ばれ、私は注射のために、看護師さんに別室へ連れていかれ、帰りにイオウカンフルローションを持たされたんです。
「20歳を過ぎればって、あと何年このニキビ顔をガマンしろっていうの!?」
「10年たってきれいになっても、私の青春は終わってるんですけど!」
10代の頃の10年後は、とんでもなく遠い未来です。
あまりに誠意のないお医者さんの対応に、子ども心にも信用できない医者というふうに思いました。
それでもニキビを何とか治したくて、「あそこがいい」と母の友人などに紹介された個人経営の医者3軒、大学病院4軒、美容系の病院3軒ほどに通いました。
しかし、どこの病院もお医者さんが口にするのは、「20歳になれば治る」
そして、抗生物質、イオウカンフルローションという処置の繰り返しでした。
中には漢方や血液検査、その他の注射をする病院もありましたが、結果はほとんど変わりません。
美容系の病院のひとつは「ニキビを治してくれる医者」として本に掲載されていたため、母と一緒に遠くまで出かけたのですが、やはりお医者さんは少し私を見ただけ。
その後はいかにも経験の浅そうな若い看護師さんが、先に丸い穴の開いたスチール製のニキビをつぶす器具で、私のニキビを端からつぶしていったのです。
本当に痛かった。。
つぶれたニキビの上には、肌色の絆創膏をべタベ夕と貼られ、「3日間ははがさないでくださいね」と。
「はぁ?絆創膏だらけの顔で学校に行かせる気?」
拷問に近い処置ですよ。
腕の注射跡はまだなんとか制服で隠せますが、顔の絆創膏は隠しようがないんです。
きれいな肌をした友だちに、「どうしたの? 大変そうだね」と言われたときは、本当に泣きそうでした。
そんな思いを我慢しながら病院に行ったのに、このときつぶされたニキビはしっかり痕が残りました。
しかも、その上からすぐに新しいニキビができて、時間と治療代を返せ! と叫びたくなりました。